トップ
 > 腰痛の話(目次) > お腹の筋肉と腰痛の関係





お腹の筋肉と腰痛の関係

腹壁(お腹)は5つの筋肉が層をなして、名前の通りお腹の壁を担っています。これらの筋肉が弱くなると、腰痛をおこしやすくなりますが、なぜこれらの筋肉が弱くなると腰痛がおこりやすくなるのでしょうか。ここでは、お腹の筋肉と腰痛の関係の解説のほかに、弱くなってしまった筋肉を強化する方法などを紹介します。

腹直筋
外腹斜筋
内腹斜筋
腹横筋
腸腰筋











 
腹直筋(Rectus abdominis m)と腰痛

腹直筋の概要
腹直筋と腰痛との関係
腹直筋の筋力強化
腹直筋の起始 ─ 停止
腹直筋の働き
腹直筋の神経支配
腹直筋のストレッチ
腹直筋の運動点(モーターポイント)
腹直筋のトリガーポイント

腹直筋の臨床・論文


 
○腹直筋の概要
腹直筋は図の通り、腹部前面を縦走する筋肉です。体を前に曲げたり、骨盤を後ろに傾ける働きがあります。
骨盤が後傾すると、結果として腰がまっすぐになります。この姿勢では、腰・背中・股関節の筋肉が効率よく力を発揮することが出来ます。



 
○腹直筋と腰痛との関係
腹直筋の力が弱くなると、骨盤が前傾となり腰が反った悪い姿勢となります。また、お腹の中の圧力が低下します。
こうなると、腰骨にかかる負担は1.4〜2 倍に、腰筋の負担は2 倍以上に増えます。

ですから腰痛の予防や治療として腹直筋の強化は重要となってきます。



 
○腹直筋の筋力強化
腹筋を強化するときのポイントは、腹に力を入れている時にゆっくりと息を吐くことです。心臓・血管にかかる負担が少なくなります。

仰向けになり、下腹部を収縮させる(お腹を1センチ程度へこませる)
その状態を維持したまま、床から肩を数センチ浮かせる
10秒保持したらゆっくりと上体をもどす

※腹筋運動で頸・背・腰部などに痛みがでる場合、その部の筋肉が過剰に働いてしまっている可能性があります。そのような場合は片手でお腹を押して、お腹だけに力が入るように意識して行います

仰向けになり、下腹部を収縮させる(1センチ程度へこませる)
その状態を維持したまま、両下肢を数センチ持ち上げる
10秒保持したらゆっくりと両下肢を下す

仰向けになり、股関節と膝関節90°曲げる
ゆっくりと上体を持ち上げ、両膝を顔に引き寄せる
その位置を保持したまま、深呼吸をしながら10秒を数える
10秒保持したらゆっくりと上体を戻す

うつ伏せになり、両腕を胸の前面に折りたたむ
骨盤と腰を動かないように固定したまま、腕を床を押しつけて、床から体を持ち上げる
体を持ち上げたまま大きく深呼吸をし10秒数えたら、上体を戻す

ボールに座る
ボールを転がして背中に当たるようにする
体と床が平行となる位置で静止
お腹に力を入れながら、背中でボールを下に押す
大きく深呼吸をしながら10秒保持し、その後に力を抜く

※首に負担がかかる場合は、頭を手で支える
この運動は殿部、腹部、腰背部の筋肉群を協調的に活動させる訓練としても有用です



 
○起始 ─ 停止
恥骨に起始
第5〜第7肋軟骨、胸骨の剣状突起に停止



 
○腹直筋の働き
体を前に曲げる (体幹屈曲)
骨盤を後ろに傾ける (骨盤後傾)
息を吐く時の補助



 
○神経支配
肋間神経(T5-T12)



 
○ストレッチ
筋肉が硬いと、筋肉本来の働きが出来なくなりますので、硬い場合にストレッチを行って軟らかくします。

うつぶせの状態から床を手で押して、上半身を持ち上げる
腹直筋の伸張が感じられたら、大きく深呼吸をする
息を吐くのと同時に、力を抜いて更に伸ばす 
 : 腰を反らすこの運動は、腰椎に負担のかかる場合もあります。腰や足に痛みやしびれが出る場合は中止します。



 
○腹直筋の運動点(モーターポイント)

運動点とは筋肉を動かすための神経(運動神経)が、目的の筋肉に入り込む場所を呼びます。
腹直筋では、赤い星から肋間神経が侵入します。

運動点を指で押した時に痛みが出る場合、より背骨に近い所に問題のあることがあります。
運動点に電気刺激を与えると、わずかな刺激量でも筋肉が強く収縮します。ですから、筋肉にうまく力を入れられない人に対して、筋収縮を補助する目的で運動点に電気を流すことがあります。




 
○腹直筋のトリガーポイント
トリガーポイントは、筋肉の中に生じる痛みの原因のようなものです。
腹直筋では×印の所にトリガーポイントが生じて、それが原因で赤塗りの所に痛みが現れます。
ですから、赤塗りの所に痛みが出ている場合には、腹直筋内にあるトリガーポイントが原因となっている可能性も考える必要があります。

通常トリガーポイントは、指で押すとそこだけが索状硬結(ハリがねのように細く硬い状態)として触れられます。
索状硬結を指で押すと、赤塗り部分に痛みが現れるのも特徴です。

トリガーポイントに局所麻酔薬を注入すると除痛されます。低周波やマッサージなどを行って索状硬結を軟らかくしても除痛できます。





 
○腹直筋の臨床・論文
背臥位、上体持ち上げの腹直筋訓練は腰痛患者によく行われるが、腸管ヘルニアの経験者では脱腸を生じることがある
上肢の前方挙上や外転で、腹直筋は活動する
荷物の前方押し出しでは、腹直筋・腹斜筋の筋活動が運動負荷量に応じて増加する












                                                           UP




 
外腹斜筋(Abdominal external oblique m)と腰痛

外腹斜筋の概要
外腹斜筋と腰痛との関係
外腹斜筋の筋力強化
外腹斜筋の起始 ─ 停止
外腹斜筋の働き
外腹斜筋の神経支配
外腹斜筋のストレッチ
外腹斜筋の運動点(モーターポイント)
外腹斜筋のトリガーポイント

腹斜筋の臨床・論文


 
○外腹斜筋の概要
お腹の側面を内腹斜筋と共に覆っています。
外腹斜筋は前下方から後上方へ走行するが、内腹斜筋は反対に前上方から後下方へ走行します。



 
○外腹斜筋と腰痛との関係
腹斜筋は外から加えられる力(腰を反らされたり、横に倒されるような力)に対して、瞬間的に筋肉を収縮させて腰が損傷しないように働きます。ですので、腹斜筋が弱くなるとそのような外力に負けて腰を痛めてしまうことがあります。



 
○外腹斜筋の筋力強化
腹筋を強化するときのポイントは、腹に力を入れている時にゆっくりと息を吐くことです。心臓・血管にかかる負担が少なくなります。

1. 仰向けで、背骨を真っ直ぐにしたまま肩を数センチ持ち上げる
2. 肩を持ち上げた位置から体を右もしくは左に捻じる
3. 捻じった状態を10秒間維持したら、体を戻す

4. 右に捻じると左外腹斜筋・右内腹斜筋が収縮する
5. 逆に左に捻じると右外腹斜筋・左内腹斜筋が収縮する

1. 仰向けから上体を起こす際に肘と膝を近づける
2. 対側の肘と膝を触れさせたら、その姿勢を10秒間保持する
3. 息を吐きながら体を戻す

1. 仰向けで、股関節・膝関節を90°曲げる
2. この姿勢で、体を起こしながら上体を捻じって逆側の膝に触れる
3. その姿勢を10秒間保持しながら深呼吸をする
4. 息を吐きながら体を戻す

1. 横向きで寝て、上になった側の脇腹を手で触れながら、体を持ち上げる
2. 手で触れている筋肉の収縮を感じながら、その姿勢を保持
3. 静止したまま深呼吸をする
4. 息を吐くのと同時に上体を戻す


1. 横向きで寝て、下側になった腕で床を押し、体を床から持ち上げる
2. 下になった側の腹斜筋が収縮するので、その姿勢を保持
3. 静止したまま深呼吸をし、息を吐くのと同時に上体を戻す(左右共におこなう)




※難しければ、股・膝関節を曲げた姿勢で行っても良い



 
○外腹斜筋の起始 ─ 停止
第5〜第12肋骨外側面より起始
腸骨稜、鼠径靱帯、白線に停止



 
○外腹斜筋の働き
左右の筋肉が収縮すると、体を前に曲げる
片側の筋肉が収縮すると、体を収縮側へ曲げ、非収縮側へ捻じられる
骨盤を後ろに傾ける (骨盤前縁の挙上、骨盤後傾)
息を吐く時の補助



 
○外腹斜筋の神経支配
肋間神経(第5胸椎〜第12胸椎からでる肋間神経)
腸骨下腹神経



 
○外腹斜筋のストレッチ
筋肉が硬いと、筋肉本来の働きが出来なくなりますので、硬い場合にストレッチを行って軟らかくします。
 

1. 腹臥位から手で床を押して、上体を持ち上げる
2. 左の腹斜筋を伸ばす場合は、右に上体を捻じる
3. 左の腹斜筋が伸張したら、大きく深呼吸をする
4. 息を吐くのと同時に、筋肉を弛緩させて更に伸ばす

腰・下肢に痛みやしびれが出る場合は中止 

1. 正座の状態から体を大きく前方へ倒す
2. この時伸ばす側と逆の肩を床に付けて体を捻じった姿勢をとる
3. この姿勢で、上になっている腕を、頭の方向へ伸ばす

この図では右側の腹斜筋が伸びている
筋肉の伸張を感じら静止して時間をかけて伸ばす

1. パートナーと一緒に行う方法
2. 伸ばされる人は、伸ばしてもらう側を上にして側臥位となる
3. 下側の股関節は90°屈曲位とする
4. 伸ばす人は、胸部を前方へ、骨盤を後方へ押し、タオルを捻じるような感じで、腹部を捻じりながら伸ばす
5. 伸ばしたら10秒静止



 
○外・内腹斜筋の運動点(モーターポイント)
運動点とは筋肉を動かすための神経(運動神経)が、目的の筋肉に入り込む場所を呼びます。
腹斜筋では、図の赤い星
から肋間神経、腸骨下腹神経が侵入します。

運動点を指で押した時に痛みが出る場合、より背骨に近い所に問題のあることがあります。
運動点に電気刺激を与えると、わずかな刺激量でも筋肉が強く収縮します。ですから、筋肉にうまく力を入れられない人に対して、筋収縮を補助する目的で運動点に電気を流すことがあります。




 
○外・内腹斜筋のトリガーポイント
トリガーポイントは、筋肉の中に生じる痛みの原因のようなものです。
腹斜筋では×印の所にトリガーポイントが生じて、それが原因で赤塗りの所に痛みが現れます。
ですから、赤塗りの所に痛みが出ている場合には、腹斜筋内にあるトリガーポイントが原因となっている可能性も考える必要があります。

通常トリガーポイントは、指で押すとそこだけが索状硬結(ハリがねのように細く硬い状態)として触れられます。
索状硬結を指で押すと、赤塗り部分に痛みが現れるのも特徴です。

トリガーポイントに局所麻酔薬を注入すると除痛されます。低周波やマッサージなどを行って索状硬結を軟らかくしても除痛できます。





 
○外・内腹斜筋の臨床・論文
片側の腹斜筋が弱化していると、背臥位での上体持ち上げの腹筋訓練時に、上体がわずかに回旋する
肩関節外転で、腹斜筋は活動する
荷物の前方押し出しでは、腹直筋・腹斜筋の筋活動が運動負荷量に応じて増加する
内腹斜筋の筋活動低下は、仙腸関節の剪断力を増大させて腰痛を引き起こす可能性がある
ドローインで腹横筋と内腹斜筋の筋厚増大が得られる











                                                           UP




 
内腹斜筋(Abdominal internal oblique m)と腰痛

内腹斜筋の概要
内腹斜筋と腰痛との関係
内腹斜筋の筋力強化
内腹斜筋の起始 ─ 停止
内腹斜筋の働き
内腹斜筋の神経支配
内腹斜筋のストレッチ
内腹斜筋の運動点(モーターポイント)
内腹斜筋のトリガーポイント



 
○内腹斜筋の概要
腹壁の側面を外腹斜筋と共に覆う筋肉です。
上の図を見てもらうと分かりますが、内腹斜筋は前上方から後下方へ走行します。一方、外腹斜筋は前下方から後上方へ走行する筋肉です。

この走行の違いは、体の動きの違いとして現れます。
右側の内腹斜筋が収縮すると、体は右へ倒れて、右に捻じれますが、
右側の外腹斜筋が収縮すると、体は右へ倒れて、左へ捻じれます。

このわずかな違いにどのような意味があるのかというと、
例えば、体を右に倒して更に右に捻じる力は弱いけれど、体を右に倒して左に捻じる力は強い場合は、
右側の内腹斜筋が弱い事が分かるので、そこを重点的に鍛えた方が良いという事にもなります。




 
○内腹斜筋と腰痛との関係
腹斜筋は外から加えられる力(腰を反らされたり、横に倒されるような力)に対して、瞬間的に筋肉を収縮させて腰が損傷しないように働きます。ですので、腹斜筋が弱くなるとそのような外力に負けて腰を痛めてしまうことがあります。



 
○内腹斜筋の筋力強化
外腹斜筋の筋力強化を参照 >>



 
○内腹斜筋の起始 ─ 停止
第10〜第12肋骨下縁に起始し
腸骨稜、上前腸骨棘、鼠径靱帯に停止



 
○内腹斜筋の働
左右の筋肉が収縮すると、体を前に曲げます
片側の筋肉が収縮すると、体を収縮側へ曲げ、収縮側へ捻じります
骨盤を後ろに傾ける (骨盤前縁の挙上、骨盤後傾)
息を吐く時の補助



 
○内腹斜筋の神経支配
肋間神経(第8胸椎〜第12胸椎からでる肋間神経)
腸骨下腹神経
腸骨鼠径神経




 
○内腹斜筋のストレッチ
外腹斜筋のストレッチを参照 >>



 
○内腹斜筋の運動点(モーターポイント)
外・内腹斜筋の運動(モータポイント)を参照 >>




 
○内腹斜筋のトリガーポイント
外・内腹斜筋のトリガーポイントを参照 >>


















                                                           UP




 
腹横筋(Abdominal transversus m)と腰痛

腹横筋の概要
腹横筋と腰痛との関係
腹横筋の起始 ─ 停止
腹横筋の働き
腹横筋の神経支配
腹横筋の筋力強化
腹横筋の訓練に使われる、アネロイド式血圧計について

腹横筋の臨床・論文



 
○腹横筋の概要
激しい運動をした後というのは息がゼーゼーします。この時に、腹横筋は息をはくのを補助しています。



 
○腹横筋と腰痛の関係
腹横筋は筒のような状態でお腹の周りに張り付いています。
筋肉が収縮すると、お腹全体に縦方向の張力を生じて硬くなります。ちょうど、紙で作った筒が鉄でつくった筒のように丈夫になります。
これにより腰を保護しています。


腹横筋は腕や足を動かすのに先立って収縮をしています。
これにより手足の運動時にも、自然と腰が保護されることになります。
腰痛を持っている方はこの筋肉の収縮がみられないことが多く、腰に負担がかかりやすい状態となっています。

手足が動き始める前に、自分の腹横筋がちゃんと収縮しているのかを確認する方法は、立った状態で下腹部(おへその下)に手を当てます。続いて、ゆっくりと片足を挙げます。
この時に手を当てた下腹部がピクリと動いたり、硬くなることが確認できれば、正常に収縮しています。
筋肉の収縮が確認できなかった人は、下に解説する方法で腹横筋を強化しましょう。


普通筋肉というのは、同じ働きを持つ筋肉同士が集まっているものです。
体を曲げるための筋肉は、体を曲げる筋肉同士が集団になっていますし、体を反らす筋肉は、体を反らす筋肉同士が集団になっています。
しかし腹横筋は不思議な事に、腰を曲げる筋肉と腰を反らす筋肉を結んでしまっています。
これは腹横筋が腰の運動に関与するというよりも、お腹の硬さを調節することで腰を安定させている証拠とも考えられています。。



 
○腹横筋の起始 ─ 停止
第7−12肋軟骨、胸腰筋膜に起始
白線に停止



 
○腹横筋の働き
思い切り息を吐くときの補助
右側が収縮すると、体が右に捻じれる
腹部を硬くして、体を安定させる
手足が動き出す直前に収縮し、腹圧を高めることで腰を守る



 
○腹横筋の神経支配
肋間神経(T5-T12)
腸骨下腹神経
腸骨鼠径神経



 
○腹横筋の筋力強化方法

1. 仰向けにて下腹部を手指で触れる
2. 安静呼吸の息をはき切った所で下腹部に力をいれる
3. 下腹部を収縮させながら安静呼吸を続ける

※仰向けで出来るようになったら、うつ伏せ・座り姿勢・立ち姿勢の順で練習を重ねていく

1. 立位で下腹部に力を入れ腹横筋を収縮させる
2. 収縮をさせたまま両腕を前方へ上げる
3. これ以上は上がらないという所まで来たら静止して10秒数える(安静呼吸は維持したまま)
4. 10秒数えたらゆっくりと腕を戻す

1. 仰向けとなり
2, 腰部下にアネロイド式血圧計のカフを置いて70mmHgに加圧
3. 70mmHgを維持した状態で腹直筋を収縮させ、安静呼吸を行う

※70mmHgを維持しながら安静呼吸が出来るようになったら、70mmHgを維持したまま足の曲げ伸ばし運動も加える

収縮が上手くできない人の訓練
1. うつ伏せで、お腹の下にアネロイド式血圧計のカフを置き70mmHgに加圧
2. 息を吐いた後にゆっくりとお腹を引き、その位置で保持する
3. この時圧が4ー10mHg低下する(圧の低下が2mmHg以下であると、収縮が行えていない状態である)
4. 保持して10秒数えたら、お腹を戻す



もう少し負荷を加えたい場合は、次の運動が良いでしょう。(腹横筋のほかに、多裂筋も強化できます)


   



1.手と膝をつけた、四つ這いになる
2.ゆっくりと左手と右脚を上げて、10秒間保持
3.手と脚を下したら、逆の手と脚も同じように上げる

 


   



1.肘と膝をつけた、四つ這いになる
2.ゆっくりと左手を上げて、10秒間保持
3.手を下したら、逆の手も同じように上げる


   



1.肘とつま先をつけた、四つ這いになる
2.ゆっくりと左手と右脚を上げて、10秒間保持
3.手と脚を下したら、逆の手と脚も同じように上げる




 
腹横筋の訓練に使われる、アネロイド式血圧計とは

アネロイド式血圧計は、時計状の文字盤を使用した血圧計の事です。
カフは血圧を測る時に腕に巻く部分の名称です。

アネロイド式血圧計を使うと、腹横筋の収縮を視覚的に確認できるので便利です。

わざわざ買う必要はないです。知り合いに持っている人がいれば、借りて運動時に使ってみてください。




 
腹横筋の臨床・論文
腹横筋の機能向上は骨盤底筋機能の改善にもつながる
腰痛経験者は、腹横筋の活動が低下し、代償として内腹斜筋、外腹斜筋の過活動がみられる
腰椎の生理的前弯を一定に保持した座位での、片側の膝関節伸展で、腹横筋が効率よく鍛えられる
ドローインで腹横筋と内腹斜筋の筋厚増大が得られる
腹横筋上部線維は胸郭の安定性に関与
腹横筋中部線維は胸腰筋膜を緊張させ腰椎の安定性に関与
腹横筋下部線維は仙腸関節の安定性に関与
体幹の反対側回旋では、腹横筋の上部線維の筋厚が増加する
腹部引き込みでは、腹横筋の中部線維の筋厚が増加する
体幹の同側回旋では、腹横筋の下部線維の筋厚が増加する
慢性腰痛患者では、健常者に比べて腹横筋の筋厚が小さく、左右非対称である















                                                           UP




 
腸腰筋(iliopsoas)と腰痛

腸腰筋の概要
腸腰筋と腰痛との関係
腸腰筋の起始 ─ 停止
腸腰筋の働き
腸腰筋の神経支配
腸腰筋の血管支配
腸腰筋の硬さの調べ方
腸腰筋の筋力強化
腸腰筋のストレッチ
腸腰筋のマッサージ
腸腰筋のトリガーポイント

腸腰筋の臨床・論文



 
○腸腰筋の概要
腸腰筋は、大腰筋と腸骨筋が合わさった筋肉です。骨盤の中にあり、腰と股関節をつないでいます。

股関節を曲げる時に働きます。
大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋などとも共同して股関節を曲げます。

腸腰筋はゆっくりした動作の際に働くので、どちらかというと日常の生活で活躍する筋肉といえます。



 
○腸腰筋と腰痛との関係
@ 腸腰筋が硬くなると、骨盤が前に倒れて腰が強く反ります。
腰が反った状態を長く続けると腰の痛みの原因となります。
A 腸腰筋は病的な萎縮を生じやすく、一度萎縮を生じると骨盤や股関節の姿勢バランスが弱くなり腰痛が引き起こされます。
B 体の側面から突然外力が加わった時に大腰筋が収縮して、腰を保護しています。
C 糖尿病・虫垂炎・尿路感染・化膿性脊椎炎・ステロイド薬剤の使用・低栄養などで免疫力が低下しているときに腸腰筋に菌が付着すると、
腸腰筋膿瘍とよばれる病気となり腰痛を引き起こします。
D 両足を伸ばした仰向け姿勢から、両方の踵を床から持ち上げる運動があります。腹筋を強化する運動です。
この時に腸腰筋に力が入りすぎて腰が強く反ると、腰痛が引き起こされることがあります。
E 両側の腸腰筋が機能低下を生じると、腹筋に障害が無くても仰向けから体を持ち上げることが出来なくなります。



 
○腸腰筋の起始 ─ 停止
腸骨筋 : 腸骨窩から起始
       大腿骨の小転子に停止

大腰筋 : 第12胸椎〜第5腰椎の肋骨突起から起始
       大腿骨の小転子に停止



 
○腸腰筋の働き
股関節を曲げて、外に捻じる
片側が収縮すると、収縮した側へ体が倒れる
両側が収縮すると、仰向けから体が起き上がる



 
○腸腰筋の神経支配
腰神経叢 (大腰筋は第1〜第3腰神経、腸骨筋は第2〜第3腰神経)
大腿神経



 
○腸腰筋の血管支配
腸腰動脈、深腸骨回旋動脈から血液を受ける
腸骨筋は仙腸関節前面付近からの腸腰動脈と、鼠径靭帯付近からの深腸骨回旋動脈とによって血液が供給される



 
○腸腰筋の硬さの調べ方
腸腰筋の短縮はトーマステストで確認できる。

仰向けで一側の股関節を目いっぱいに曲げて、太ももをお腹にくっつける
股関節を曲げるのと一緒に反対側の太ももがベッドから浮き上がってくる場合は、浮き上がった側の腸腰筋が短縮しているということになる
左右を確認する

※座位姿勢の多い日常生活をおくっていたり、慢性的に動けない高齢者などでは硬くなりやすい。



 
○腸腰筋の筋力強化
立ち姿勢から太ももを上げる運動で鍛えられる。
最初は膝を曲げて行。筋力が付いてきたら膝を伸ばしたまま太ももを上げる。
仰向けから上体を引き上げる運動をする際に、勢いをつけて太ももの近くまで上体を引き上げると、腸腰筋を強く働せることが出来ます。

注意
ただ、あまり強く腸腰筋を働かせすぎると腰痛になることがあります。
腰痛の方がこの運動をする時は、肩が床から数センチ上がる程度で十分です。



 
○腸腰筋のストレッチ
日頃から座りっぱなしの生活をおくっていたり、動くことが困難な高齢者などでは筋肉が硬くなりやすいので、定期的にストレッチをして軟らかさを保つことが大切です。
片方の膝を床について立つ
体を前方へ移動させる
膝を床につけている側の股関節が伸びているのを感じる
この姿勢を1分間保持
終わったら逆側もやる
※このとき、腰が反らないように腹に力を入れながら行うようにする

ストレッチを受ける人は、うつ伏せに寝る
パートナーは片側のお尻をベッド方向に押さえる
お尻を抑えた側の太ももを持ち上げる(お尻が浮き上がらないように注意)
この姿勢を1分間保持
終わったら逆側もやる



 
○腸腰筋のマッサージ
マッサージを行う場所の近くには内臓や神経などが密集しているため、強度は軽めでおこなう。
筋膜上に指を滑らせるような繰り返しの刺激で十分で、筋を深部に押し込むようなマッサージは必要ない。
腸腰筋 患者仰向けとして、施術を受ける側の股・膝関節を屈曲位。
セラピストは施術側に立ち、一方の手指で患者の鼠径靭帯中央部の大腿動脈の外側を圧する。
他方の手で患者の下肢を外転方向に倒して元に戻す。
患者の下肢の運動に伴って腸腰筋の滑走が確認できるので、筋腹を手指でマッサージしながら下肢の外転・内転運動を繰り返す。
注 この部は大腿動脈・静脈・神経が走行するため強力な圧を加えないこと。
腸腰筋 患者仰向け。
セラピストは施術側に立ち、両母指を重ねて患者の鼠径靭帯中央部から5cm遠位の大腿直筋内側縁に置く。
筋肉を直圧して腸腰筋付着部である小転子の骨隆起を中心に揉捻する。
腸骨筋 患者仰向け。
セラピストは施術側に立ち、両側の手指もしくは母指で患者の上前腸骨棘の内側から腸骨窩に圧を加えて、腸骨筋をマッサージする。
大腰筋 患者仰向けとして、施術を受ける側の股・膝関節を屈曲位とする。
セラピストは患者の臍の2〜3横指外側部を一方の手指で圧を加えて大腰筋を触知する。
他方の手で屈曲位の右下肢を屈伸運動させる。
股関節の屈伸に伴って大腰筋の滑走が確認できるので、筋腹を狙ってマッサージを行う。



 
○腸腰筋のトリガーポイント
トリガーポイントは、筋肉の中に生じる痛みの原因のようなものです。
腸腰筋では×印の所にトリガーポイントが生じて、それが原因で赤塗りの所に痛みが現れます。
ですから、赤塗りの所に痛みが出ている場合には、腸腰筋内にあるトリガーポイントが原因となっている可能性も考える必要があります。

通常トリガーポイントは、指で押すとそこだけが索状硬結(ハリがねのように細く硬い状態)として触れられます。
索状硬結を指で押すと、赤塗り部分に痛みが現れるのも特徴です。

トリガーポイントに局所麻酔薬を注入すると除痛されます。低周波やマッサージなどを行って索状硬結を軟らかくしても除痛できます。






 
○腸腰筋の臨床・論文
脊柱管狭窄症で腸腰筋短縮があると、間欠跛行が生じやすい
腸腰筋の伸張後に、腰椎の不安定感(主訴)が増大することがある
背臥位で腰痛を有する腰椎過伸展位の妊婦では、セミファーラー位で腸腰筋を緩めても痛みは変わらない(胎児が骨盤にのるため痛みはとれない)
腸腰筋の柔軟性があっても腰部過前弯を呈する者はいる

腸腰筋膿瘍は比較的稀な疾患
腸腰筋内膿瘍は原発性と続発性に分けられるが、続発性の原因には虫垂炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室炎等の消化器疾患や、腎周囲膿瘍などがある
腸腰筋内膿瘍の臨床症状は,発熱,局所の疼痛,腸骨窩腫瘤,腸腰筋肢位,歩行障害,WBC,CRPの上昇,血沈の亢進がある
毎秒2m 以上の歩行速度で、腸腰筋の活動はそれ以下の歩行速度と比較して急激に大きくなる
腸腰筋の筋線維構成(赤筋・白筋・中間筋)は、論文によってばらばらである
腰椎椎間関節症では、腸腰筋・大腿四頭筋・大腿筋膜張筋が短縮する症例が多くみられる
間欠跛行症例に腸腰筋、大腿筋膜張筋、多裂筋のストレッチを行ったところ、90%以上に歩行距離延長がみられた



















 
                                                          UP





















 
 
 
 

トップページ

診療時間 7〜18時

こはた接骨院

〒123-0845 東京都足立区西新井本町1-10-9
03-3856-2730
inserted by FC2 system